電力会社との交渉


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近くの電信柱の周辺を観察する

その地域、現場のすぐそばにある電信柱を見る必要があります。そして、電線の伸びる先には何があるのかも見ます。もし、先に病院や、家屋などがあればその電線はある容量を持っていることがわかります。また、電柱にトランスがついていればある程度の容量の電流が高圧で流れていることがわかります。変電所が近くにあるのかどうかも見ます。もし遠いと容量を上げる工事が必要な場合、かかるコストが上がります。

系統連系電力負担金

容量の低い細い電線しかない場所で、電線に太陽光発電で売電された電流が流れれば周波数の乱れを起こしたり、停電の原因にもなります。このような場合は電線を太くして容量を増やし、高圧にする必要があります。しかし、電力会社から見ればユーザーのために線を太くすることはあっても太陽光発電で売電使用とする業者のために線を太くする義務はありません。ただ、低圧発電業者からは電力を買取ることが義務付けれていますから、工事をして容量を上げることになります。このため、電力会社は太陽光発電業者に電力負担金を最初に請求します。これを「系統連系電力負担金」と呼んでいます。

太陽光発電を行うには電力を買い取ってくれる電力会社の条件にあっているかどうかが大切なのです。しかし、普通は外部の人間がそれを伺い知ることはできません。系統連系の電力負担金の申請を出してその返事を待つしかありません。

この申請のためには、まず何という系統なのか、そばにある電柱を見て記載版にかかれている系統を覚えておく必要があります。

電力会社の審査

審査期間は電力会社によって違います。おおむね2か月ぐらいで電力負担金の額が通知されます。

通常3年以内に売電を開始して系統連系を始めなければ無効になります。

この金額は電力会社の条件によって変わってきます。そもそも電柱がない場合、あっても線が細い場合、トランスがない場合、変電所まで遠い場合、などのケースは莫大な電力負担金が生じます。この金額があまりに巨額な場合は事業利回りに大きな影響を与え、プロジェクトは中止になります。反対に制限がない場合は電柱を新たに敷地内に立てるだけで系統連系が実現します。

また、電力会社は太陽光発電で使用するPCSなどの機器も審査します。今回は高効率の最新のPCSで申請しましたので審査に時間がかかりました。

今回のプロジェクト

今回は、高圧、無制限の場所でした。ここの系統が電力会社の都合で大容量に変更する計画がすでにありました。トランスも付いていました。したがって制限がありませんでした。唯一、電信柱を更新するために田植えの時期を避ける必要があり(田の中に立つ電柱を全て変えるため)このプロジェクトを早く確定して電柱を立てて電力負担金を早く支払う、という条件だけでした。このため、電力負担金は非常に安い価格でした(実価格は開示できません)。

注意点

まったく電柱がなく変電所も近くにない北海道でのケースでは2億円を請求され、プロジェクトが中止になったケースもあるそうです。電力負担金は大したことはないだろう、と安易に考えてはいけません。最初に記述した周りを観察することをお勧めします。良いコンサルタントはこの点を注意深く観察しています。